公務員の副業解禁は近年注目を集める話題となっています。働き方改革の進展や社会の変化に伴い、公務員の副業に対する規制緩和の動きが出てきました。本ブログでは、公務員の副業解禁に至る経緯や法的規制、自治体の取り組み事例などについて詳しく解説していきます。公務員の働き方を巡る最新の動向に興味のある方は、ぜひご一読ください。
目次
1. 公務員の副業解禁の経緯
公務員の副業解禁は、近年注目を浴びているテーマです。この解禁に至るまでの経緯には以下のような過程があります。
- 2017年3月:公務員の副業に関する提言ー公務員が率先して兼業・副業すべきという意見が出され、副業解禁への検討が始まりました。
- 2017年6月:国会で公務員の副業に関する質疑が行われ、当初は現行制度の適切な運用が必要とされ、副業解禁には慎重な姿勢が示されました。
- 2018年6月:未来投資戦略2018において、国家公務員の副業に対して柔軟な対応が求められることが示され、副業解禁に向けた具体的な方針が打ち出されました。
- 2019年3月:国家公務員の公益的な副業が解禁され、兼業許可基準も整備されました。これにより、公務員が社会に貢献する一環として、副業を行うことが認められるようになりました。
- 2019年11月:地方公務員の公益的な副業についても解禁され、各自治体で副業・兼業の正式解禁が進んでいます。地方自治体の多くも、副業解禁に前向きな姿勢を示しており、公務員の働き方改革が進んでいます。
以上が公務員の副業解禁に至るまでの経緯です。現行制度の調整や柔軟な制度整備が行われる中で、公務員の副業解禁が実現されてきました。ただし、公益的な活動や報酬に該当しない範囲の副業であり、適切な条件や制約があることが重要です。今後も公務員の副業解禁に関する動きは盛んであり、将来的には全面解禁の可能性も考えられます。
2. 公務員の副業解禁に向けた動き
公務員の副業解禁には、働き方改革の推進や社会の変化に合わせて進行してきた様々な動きがあります。以下に、公務員の副業解禁に向けた主な動きを紹介します。
2.1 国家公務員の副業解禁に関する改革(2019年)
2019年、国家公務員の副業解禁に関する改革が行われました。この改革では、一般的な副業を許可する枠組みが整備され、一部の職種や部署において副業が許可されるようになりました。具体的な解禁内容は、公益的な活動や特定の副業を許可する一方で、本業に支障をきたすおそれがある副業は制限されます。これは公務員の働き方改革や収入源の多様化を促進するための改革であり、公務員が法律やガイドラインを遵守しながら適切な副業を選ぶ必要があります。
2.2 地方公務員の副業解禁の動き(2019年以降)
地方公務員の副業解禁に関しては、自治体ごとに異なる動きが見られます。2019年以降、いくつかの自治体で副業解禁の動きが見られました。例えば、神戸市では2019年に「地域貢献応援制度」を導入し、市民活動や地域への貢献を目指す副業を支援する枠組みが整備されました。このような取り組みは他の自治体にも影響を与え、地域に応じた副業解禁の取り組みが進められています。
2.3 政府の見解と今後の展望
公務員の副業解禁については、政府も積極的な姿勢を示しています。2018年の政府の「未来投資戦略」では、公務員の兼業を公益活動に限り認めると明記されており、国家公務員の副業解禁にも柔軟に対応する考えが示されています。総務省からも地方公務員に対して副業推進のための許可基準作成が要請されています。
公務員の副業解禁に関する動きは、地方自治体や政府の方針によって進展しています。今後も公務員の副業解禁は進んでいくと考えられますが、適切な運用や明確な基準の設定が求められます。公務員自身も法律やガイドラインに従い、適切な副業を選択する必要があります。
3. 公務員の副業に関する法的規制
公務員の副業には、国家公務員法と地方公務員法によって厳しい規制が存在します。これらの法律には、公務員が副業を行う際に守るべきルールが明確に定められています。
3.1 国家公務員法による規制
国家公務員法では、公務員が営利目的の私企業の経営や役員職を禁止しています。具体的には、以下のような規定があります。
- 第100条:公務員は、商業、工業、金融業などの営利企業を経営したり、役員職に就くことができません。
- 第101条:公務員が報酬を得て、営利企業以外の事業に従事する場合は、内閣総理大臣または所轄庁の長の許可が必要です。
上記の規定により、国家公務員は営利目的の副業に制限がありますが、所轄庁の許可を受ければ、一定の条件のもとで副業を行うことができます。
3.2 地方公務員法による規制
地方公務員法も国家公務員法と同様に、営利目的の副業を禁止しています。具体的な規定は以下の通りです。
- 第38条:公務員は、任命権者の許可を受けなければ、営利企業を経営したり、役員となったりすることはできません。
国家公務員と同様に、地方公務員も所轄庁の許可を受ければ、一定の条件のもとで副業を行うことができます。
3.3 三大原則による規制
公務員の副業に関する法的規制だけでなく、公務員には「三大原則」と呼ばれる規定も存在します。これらの原則は、公務員の倫理観と職務専念を守るために設けられています。
- 信用失墜行為の禁止:公務員は、社会的な信用を損なうような行為はしてはなりません。
- 守秘義務:公務員は、職務上知り得た秘密を漏らすことはできません。
- 職務専念義務:公務員は、本職に専念し、本職に支障をきたすような行為は避けなければなりません。
これらの原則も、公務員の副業を制限する要素となっています。
公務員の副業に関する法的規制は厳しいものですが、法律によって明確に定められているため、積極的に遵守することが必要です。公務員は国民の信頼を得て勤務している立場であり、その職務に専念する責任があるため、副業の制限が設けられているのです。
4. 進む自治体の副業解禁の事例
いくつかの自治体が積極的に副業解禁に取り組んでおり、その中でもいくつかの事例をご紹介します。
4.1 兵庫県神戸市の地域貢献応援制度
兵庫県神戸市では、地域貢献応援制度を導入しています。この制度では、市の職員が勤務時間外に公益性の高い地域貢献活動をすることで、報酬を得ることができます。具体的な例としては、NPO法人の設立支援や手話通訳活動、産後ケアトレーニング教室の開催、スポーツ推進委員の活動などがあります。
4.2 広島県福山市の戦略推進マネージャー活動
広島県福山市では、戦略推進マネージャーとして民間企業で活躍する専門職を採用し、副業として市の職員として活動させています。これは人口減少対策や重要な施策の推進のために、行政外の知識や専門性を活かして新しいアイデアを導入することを目的としています。
4.3 東京都渋谷区の「副業人材」
東京都渋谷区では、「副業人材」として民間企業からプロジェクト推進のための人材を募集しています。この取り組みでは、渋谷区が進めるスタートアップ支援事業に関わる業務を民間企業から募集し、完全テレワークで行っています。このような取り組みは、公務員と民間企業の人材交流を促進し、副業解禁の一環として注目されています。
これらは一部の自治体における副業解禁の事例であり、地域の活性化や貢献を促進し、公務員の働き方改革や人材流動性の向上を目指しています。副業解禁が進む中、今後も様々な自治体で新たな事例が生まれることが期待されます。
5. 公務員に適した副業の例
公務員にとって適した副業の例をいくつか紹介します。公務員の副業は職務の品位や公正性を損なわないことが求められるため、選択肢は限られますが、以下の活動は公務員に適しています。
5.1 地域社会への貢献活動
地域の公益的な活動への参加は、公務員にとって最も適した副業の一つです。例えば、地域交流や商業活性化の支援、児童養護施設への訪問・相談など、地方自治体や地域社会への貢献が期待できます。これらの活動は公務員の兼業許可基準を満たす限りで行うことができます。
5.2 農業
農業も公務員に適している副業の一つです。例えば、自身で作った農作物を消費するレベルの小規模な農業は許可を受けずに行うことができます。農業は地域振興にも役立ち、社会貢献度が高いため、兼業許可も得やすい傾向にあります。
5.3 地域貢献型の活動
地域貢献型の活動も公務員の副業として選択できます。ここでは、地域の商業活性化支援や障がい者支援などの活動に従事することができます。公務員の職務に支障がなく、公正性や品位を損なわない範囲内で行うことができます。
5.4 インストラクターや家庭教師
インストラクターや家庭教師としての活動も公務員に適しています。公務員は自身の趣味や専門知識を生かして、ヨガやフィットネス、楽器演奏などを教えることができます。また、学生の学習支援のために個別指導や家庭教師を行うこともできます。これらの活動は公務員の職務に支障がなく、公正性や品位を損なわない範囲内で行うことができます。
5.5 コンサルタント業
公務員の経験を活かして、コンサルタント業に携わることも可能です。自身の専門分野で民間企業や団体にアドバイスを提供することができます。公務員の知識や経験を活用し、地域の中小企業の発展や地域貢献に貢献することができます。これらの活動も公務員の職務に支障がなく、公正性や品位を損なわない範囲内で行うことができます。
以上が公務員に適した副業の例です。公務員の方は、自身のスキルや興味に合わせて副業を選ぶことで、充実した公務員生活を送ることができます。副業を行う際には、職務の公正性や品位に気を配りながら、公務員としての責務を果たしていくことが重要です。
まとめ
公務員の副業解禁は、近年の働き方改革の一環として進められており、国家公務員、地方公務員ともに副業を行うことが段階的に認められてきました。法的規制の枠組みの中で、地域貢献や専門性の発揮など、公務員に適した副業の事例が増えてきています。これらの取り組みは、公務員の収入源の多様化や生活の質の向上、さらには地域社会への貢献など、様々なメリットを生み出しつつあります。今後も自治体ごとの創意工夫による副業解禁の取り組みが進み、公務員の副業がより一層活発になることが期待されます。
よくある質問
公務員の副業解禁はどのような経緯で進んでいるのか?
公務員の副業解禁は、2017年から検討が始まり、2019年に国家公務員の公益的な副業が解禁されました。その後、地方公務員の副業解禁も進み、各自治体で積極的に取り組まれています。この背景には、社会の変化や働き方改革の推進など、公務員の収入源の多様化や生産性向上を目的とした取り組みがあります。
公務員の副業に関する法的な規制はどのようになっているのか?
公務員の副業には、国家公務員法と地方公務員法による厳しい規制があります。営利目的の副業は基本的に禁止されており、所轄庁の許可を得る必要があります。また、公務員の職務専念義務や守秘義務といった「三大原則」にも留意する必要があります。公務員は国民の信頼を得ながら職務に専念することが求められているため、適切な副業の選択が重要です。
地方公務員の副業解禁の取り組みにはどのような事例があるのか?
地方公務員の副業解禁に向けた取り組みとして、兵庫県神戸市の「地域貢献応援制度」や、広島県福山市の「戦略推進マネージャー活動」、東京都渋谷区の「副業人材」の採用などが注目されています。これらの取り組みは、地域の活性化や新しいアイデアの導入、公務員と民間企業の人材交流の促進など、様々な目的を持ちながら進められています。
公務員に適した副業にはどのようなものがあるのか?
公務員に適した副業の例としては、地域社会への貢献活動、小規模な農業、地域貢献型の活動、インストラクターや家庭教師、コンサルタント業などが挙げられます。これらの活動は、公務員の職務に支障がなく、公正性や品位を損なわない範囲で行うことができます。公務員は自身のスキルや興味に合わせて、適切な副業を選択することが重要です。