公務員の副業は従来制限されていましたが、働き方改革の流れの中で、徐々に解禁される動きが出てきています。国家公務員と地方公務員別に、副業解禁の経緯と先進的な取り組み事例を紹介するブログです。副業の広がりが公務員の多様な働き方を後押しし、地域へも好影響をもたらすことが期待されています。
目次
1. 公務員の副業をめぐる状況
公務員の副業は法律や規定によって制約があります。現在の状況を見ると、公務員が副業を行うにはいくつかのハードルが存在しています。
公務員は国家公務員法や地方公務員法により、営利企業の経営や役員就任が禁止されています。また、報酬を得るためには内閣総理大臣や所轄庁の長の許可が必要です [※1][※2]。
公務員の副業解禁の動きは全国的にも見られますが、現状では制限が多く、公務員が安心して副業を始めることは難しい状況が続いています。
公務員の副業には以下の3つの原則があります：信用失墜行為の禁止、守秘義務、職務専念義務です。
- 信用失墜行為の禁止：公務員全体のイメージを壊したり、信用を失うような行為は禁止されています。
- 守秘義務：公務員は職務上知りえた秘密を他人に流してはいけません。
- 職務専念義務：公務員は本職に専念しなければならず、本職に支障をきたすような行為は避けなければなりません。
公務員の副業には国や地方自治体によって規定や罰則が異なる場合があるため、最新の法律やガイドラインを確認する必要があります。また、副業を行う際にはいくつかの手続きが必要となります。例えば、自営兼業承認申請書の提出や所得の家族名義での受け取りの禁止、収益が一定額を超える場合の確定申告などがあります。
公務員の副業は、働き方の選択肢の一つとして魅力的ですが、ルールを守って適切な副業を行うことが重要です。地域や組織によって異なるガイドラインを確認し、円滑な副業の実施を目指しましょう。
2. 国家公務員の副業解禁の経緯
国家公務員の副業解禁は、2019年に行われた改革によって実現しました。この改革は、社会の変化や働き方の多様化に対応するための措置として導入されました。その目的は、公務員の働き方改革を推進し、多様な収入源を持つことを促進することです。
まず、国家公務員の副業解禁に関するガイドラインが整備されました。このガイドラインは、一般的な副業を許可する枠組みを提供し、一部の職種や部署での副業を可能にしました。これにより、公務員は本業に加えて、別の収入源を持つことができるようになったのです。
副業解禁の背景には、公務員の職務遂行において公正さや中立性を損なわないようにするための対策もあります。そのため、公務員は本業に支障をきたすおそれのある副業は制限される一方で、公益的な活動や特定の副業は認められています。公務員は法律やガイドラインに従って、適切な副業を選択し、適切に活用する責任があります。
国家公務員の副業解禁は、政府の働き方改革の一環として位置づけられています。また、社会的な需要や公務員の働き方の多様化を反映したものでもあります。この制度によって、公務員は社会的な活動や地域貢献に積極的に関与し、多様な働き方が実現されることが期待されています。
今後も、国家公務員の副業解禁に関する制度整備が進むことが予想されます。社会の変化に対応した柔軟な制度が求められるだけでなく、公務員自身が適切な副業を選択し、活用することも重要です。これによって、公務員の多様な労働者像や働き方の選択肢が拡大し、公的な職務遂行の質の向上や地域の発展に寄与することが期待されます。
3. 地方公務員の副業解禁の動き
地方公務員における副業解禁の動きは、自治体ごとに異なっていますが、最近では2019年以降、いくつかの自治体で副業解禁の取り組みが見られます。以下にその一部を紹介します。
3.1 神戸市の地域貢献応援制度
神戸市では、副業を解禁することで地域の課題解決に積極的に取り組むための取り組みを行っています。具体的には、「地域貢献応援制度」を導入しています。この制度では、市の職員が勤務時間外に社会性や公益性の高い継続的な地域貢献活動を行う場合に報酬を得て従事することが許可されています。また、この制度では、営利企業への従事も可能です。神戸市の地域貢献応援制度は、地元NPO団体の人手不足や高齢化に対応するために導入されました。公務員が知識や経験を活かし、公益的活動や地域貢献活動に従事することが奨励されています。
3.2 生駒市の地域貢献活動を行う職員の副業促進
生駒市も神戸市をモデルにして、地域貢献活動を行う職員の副業を促進しています。市は、平成29年から職務外での地域活動などに従事し報酬を得る際の基準を制定しました。この制度では、公益性の高い地域活動に従事することが求められ、報告書の提出が義務付けられています。実際に、市の職員は地域のサッカーやバレーボールの指導者やNPO法人への参加など、市の発展に寄与する活動を行っています。
以上のように、神戸市や生駒市などのいくつかの自治体が地方公務員の副業解禁を推進しています。これらの取り組みは、公務員が地域の課題解決や地域貢献に積極的に取り組むことを促し、地方自治体の活性化に大きく貢献しています。今後も地方自治体を中心に公務員の副業解禁が進むことが予想されます。ただし、副業は公益性のある活動に限られるため、収入アップを目的とした副業の全面解禁は難しいでしょう。今後は地方公務員の副業解禁を一層推進し、制度を明確化する必要があると言えます。
4. 先進的な自治体の副業解禁事例
神戸市の地域貢献応援制度
神戸市では、公務員の副業解禁において、先進的な取り組みを行っています。その中でも特に注目されるのが、地域貢献応援制度です。この制度では、公務員が勤務時間外に公益性の高い地域貢献活動を行い、報酬を得ることができます。地域の担い手不足への対応と、公務員が地域の課題解決に積極的に取り組むことを促すために、この制度が導入されました。神戸市の公務員は、NPO法人の設立支援や手話通訳活動、産後ケアトレーニング教室の開催、スポーツ推進委員活動など、様々な活動を行っています。
広島県福山市の戦略推進マネージャー活動
福山市では、民間企業の最前線で活躍する高度専門人材を副業職員として採用する「戦略推進マネージャー」の制度を導入しています。この取り組みの目的は、人口減少対策など重要な施策を効果的に推進するために、行政だけでは難しい課題に対処することです。福山市は民間企業社員の経験と専門性を持つ人材を市職員として採用することで、地域の発展に貢献しています。
東京都渋谷区の副業人材
東京都渋谷区では、民間企業からプロジェクトの推進に参加する「副業人材」を募集しています。この取り組みは渋谷区スタートアップ支援事業の一環であり、先駆的な試みとして注目されています。副業人材は完全テレワークで働くことができ、民間企業の人材を活用するために副業としての雇用形態が導入されています。このような人材交流の促進により、公務員の副業規制が緩和される可能性もあります。
これらの自治体は公務員の副業解禁において先進的な取り組みを行っており、他の自治体にとっても参考になる事例です。公益的な活動や社会貢献活動に貢献する副業が認められており、地域の発展や課題解決に向けて公務員の積極的な参加がされています。ただし、公益的活動や社会貢献活動の具体的な定義は自治体によって異なるため、個別判断が重要となります。公務員の副業解禁に向けては、今後さらなる拡大が期待されますが、個々のケースに応じた運用が必要とされています。
5. 公務員の副業解禁に向けた提言と課題
公務員の副業解禁に向けての提言や課題には、多くの意見があります。以下では、主な提言と課題を紹介します。
提言
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現行制度の適切な運用
– 公益的な活動や副業について、現行制度を適切に運用することが重要です。
– 兼業・副業に関する論点を整理し、関係府省庁と連携しながら検討を進める必要があります。 -
柔軟な制度運用
– 未来投資戦略2018では、公益的活動や副業への柔軟な対応が示されました。
– 公務員が副業を行う際には、適切な制度を整備し、円滑な運用を図る必要があります。
課題
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副業解禁の基準の明確化
– 副業解禁に際しては、明確な基準が必要です。
– 具体的な副業の許可・禁止について、明確な基準を設ける必要があります。
– 公務員や関係者が判断しやすい基準の設定が重要です。 -
本業への影響の防止
– 副業解禁に伴い、公務員の本業への影響を避けるための対策が必要です。
– 副業が本業の業務や職務遂行に支障をきたさないよう、適切な制限や規制を導入する必要があります。 -
倫理観の確立
– 副業解禁により、公務員の倫理観が問われる場面もあります。
– 公務員としての責任や公平性を保ちながら、副業を遂行することが求められます。
– 副業活動においても、倫理的なルールや規範を守る意識を持つことが重要です。
これらの提言や課題を考慮しながら、公務員の副業解禁に関する議論や取り組みが進められています。適切な制度運用や基準の明確化、本業への影響防止策、倫理観の確立など、さまざまな要素を考慮しながら、公務員の副業解禁が進展することが期待されます。
まとめ
公務員の副業解禁は、社会の変化や働き方の多様化に対応するための重要な取り組みです。国や地方自治体レベルで徐々に制度化が進み、神戸市や生駒市などの先進的な事例が見られるようになってきました。しかし、副業解禁にあたっては、公務員の本業への影響防止や倫理観の確立など、さまざまな課題への対応が求められます。今後は、適切な制度運用と基準の明確化を進め、公務員が安心して副業に取り組めるような環境の整備が重要となります。公務員の多様な働き方の実現と地域への貢献が期待されます。
よくある質問
公務員の副業にはどのような制限があるのですか?
公務員は国家公務員法や地方公務員法により、営利企業の経営や役員就任が禁止されています。また、報酬を得るためには内閣総理大臣や所轄庁の長の許可が必要です。公務員の副業には信用失墜行為の禁止、守秘義務、職務専念義務といった原則があり、組織や地域によって異なるガイドラインを確認しながら、適切に副業を行う必要があります。
公務員の副業解禁はどのように進んでいるのですか?
国家公務員の副業解禁は2019年の改革によって実現しました。一般的な副業を許可する枠組みが提示され、公益的な活動や特定の副業が認められるようになりました。地方公務員においても、神戸市や生駒市などの自治体で、地域貢献を目的とした副業解禁の取り組みが行われています。今後、さらなる制度整備が進み、公務員の多様な働き方が実現されることが期待されています。
先進的な自治体ではどのような副業解禁の取り組みが行われているのですか?
神戸市の「地域貢献応援制度」は、公務員が公益性の高い地域貢献活動に従事し、報酬を得ることを許可しています。福山市の「戦略推進マネージャー」制度では、民間企業の専門人材を副業職員として採用しています。渋谷区では「副業人材」の募集を行い、テレワークで民間企業との人材交流を促進しています。これらの先進事例は、公務員の地域貢献や社会課題解決への参加を後押ししています。
公務員の副業解禁に向けた課題には何がありますか?
公務員の副業解禁に向けた課題には、明確な基準の設定、本業への影響防止、倫理観の確立などが挙げられます。具体的な副業の許可・禁止について、公務員や関係者が判断しやすい基準を設ける必要があります。また、副業が本業の業務や職務遂行に支障をきたさないよう、適切な制限や規制を導入する必要があります。さらに、公務員としての責任や公平性を保ちながら、倫理的なルールや規範を守る意識を持つことが重要です。