資金繰りは事業運営の上で非常に重要です。しかし、予期せぬ出費や売掛金の回収遅れなど、いくつかの事態が重なると一時的に資金が不足することがあります。そのような場合、銀行からの融資とは別に、ノンバンクの融資を利用することも選択肢の一つです。ノンバンクには銀行とは異なる特徴がありますが、状況によってはメリットが大きいこともあります。このブログでは、ノンバンクとはどのようなものなのか、そしてノンバンクの融資を利用するメリット・デメリット、適している場合と向いていない場合について詳しく解説します。
目次
1. ノンバンクとは?銀行との違い
1.1. 銀行の特徴
銀行は、顧客の預金を受けるだけでなく、様々な業務を行っています。主な業務には、預金業務や融資業務、為替業務などがあります。銀行は銀行法や信用金庫法に基づいて業務を行っており、幅広い金融サービスを提供しています。また、銀行は総量規制の対象外であるため、個人の借入額に制限はありません。
1.2. ノンバンクの特徴
ノンバンクは、銀行とは異なり、融資業務に特化しています。代表的なノンバンクとしては、消費者金融や信販会社、クレジットカード会社などがあります。ノンバンクは貸金業法に基づいて業務を行っており、主に個人向けの融資を提供しています。なお、ノンバンクは総量規制の対象となり、個人の借入総額に制限があります。
1.3. 銀行とノンバンクの違いの要点
以下は、銀行とノンバンクの違いの要点です。
- 銀行は融資以外の業務も行っているが、ノンバンクは融資業務に特化している。
- 銀行は総量規制の対象外であり、個人の借入額に制限がない。一方、ノンバンクは総量規制の対象であり、借入総額に制限がある。
- ノンバンクの金利は銀行に比べてやや高い傾向がある。
- ノンバンクの借入限度額は銀行と比べて低い傾向がある。
銀行とノンバンクは、それぞれに異なる特徴を持っています。融資先を選ぶ際には、自分の状況に合わせて適切な選択をする必要があります。次のセクションでは、ノンバンクの融資を利用するメリットについて詳しく説明します。
2. ノンバンクの融資を利用するメリット
ノンバンクを利用して資金繰りをする法人には、以下のようなメリットがあります。
2.1 スピーディな融資
ノンバンクの最大のメリットは、融資までのスピーディな対応です。銀行融資では通常2週間程度かかることがありますが、ノンバンクでは申し込んですぐに審査結果が出ることもあります。急な資金需要がある場合や緊急事態に備える場合には、ノンバンクのスピーディな融資が非常に便利です。
2.2 簡潔な審査手続き
ノンバンクの資金調達は、審査手続きが簡潔であることもメリットの一つです。銀行融資では多くの書類を用意しなければならず、申し込みまでに時間がかかることがあります。しかし、ノンバンクの一部では決算書や本人確認書類などごく簡単な書類で申し込むことができます。また、ノンバンクの中には審査通過後にローンカードを発行してくれるところもあり、簡単に借入できることも魅力です。
2.3 無担保での借入可能
銀行融資では原則として保証人や担保を準備する必要がありますが、ノンバンクの場合は無担保・無保証人で融資が可能な商品もあります。法人や代表者が不動産などの資産を持っていない場合でも申し込むことができます。ただし、資産を担保にできる場合は審査にプラスに働き、適用金利などの条件も優遇される場合があります。
2.4 自由な用途
銀行融資では使い道が限定されることが多いのに対し、ノンバンクでは事業用の資金であれば用途は自由です。設備資金の補填や運転資金の調達など、事業に関わる用途であれば問題ありません。ただし、プライベートな理由での使用は認められていませんので、注意が必要です。
以上がノンバンクの融資を利用する際のメリットです。
3. ノンバンクの融資を利用するデメリット
ノンバンクで資金調達する方法にはメリットがありますが、デメリットも存在します。以下では、ノンバンクの融資を利用する際の主なデメリットについて説明します。
高い金利
ノンバンクでの資金調達のデメリットとして、金利の高さが挙げられます。通常、銀行融資の金利は2~6%、地方銀行でも4~13%程度です。しかし、ノンバンクの場合は一般的に6~18%程度の高金利となります。
長期的な借り入れを行う場合、利息の支払いだけでも大きな負担となる可能性があります。なぜノンバンクの融資金利が高いのでしょうか?それは、ノンバンクが銀行からの融資で資金を調達しているためです。銀行融資の返済では利息も支払わなければならず、ノンバンクは利益を確保するために高い金利を設定しています。ノンバンクの審査はスピーディですが、詳細な条件をチェックせずに貸し付けるため、貸し倒れのリスクも高まります。貸し倒れても債権を回収するために、金利を高く設定しているのです。したがって、金利が高いためできるだけ早く返済することが重要です。
借入限度額の制約
ノンバンクでは借入限度額が比較的少ない傾向がありますので、大きな資金調達には向いていません。銀行融資では、条件によって1,000万円以上または1億円前後の融資が可能な商品もありますが、ノンバンクでは300~500万円程度が上限となるでしょう。銀行は広く預金者から資金を集めることができますが、ノンバンクはそれほどの資金を持っていないためです。また、ノンバンクは銀行よりも審査が緩いため、大きな資金を貸し付けることも難しいのです。
借り過ぎのリスク
ノンバンクの融資は審査がスピーディで必要書類も少ないため、手軽に申し込むことができます。しかし、これはある種の諸刃の剣とも言えます。借り入れが容易であるため、ついつい借り過ぎてしまう法人も存在します。連続して借り入れを行い、高金利も加わると借金が急速に増えてしまうことがあります。気づいた時には借りた金額を返済しきれず、多額の負債を抱える状況に陥る可能性があります。消費者金融のCMでよく聞く「ご利用は計画的に」というキャッチコピーはまさにその通りです。ノンバンクの融資を利用する際には、きちんと返済計画を立てて利用することが重要です。
以上のデメリットを理解しておくことは、ノンバンクの融資を利用する際に非常に重要です。メリットとデメリットを総合的に考慮し、自社の資金調達に最適な方法を選択することが求められます。
4. ノンバンクの融資が適している場合
ノンバンクの融資は、特定のケースにおいて非常に適しています。以下に、ノンバンクの融資が適している場合を紹介します。
1. 資金のつなぎ資金として利用する場合
ノンバンクの融資は、資金のつなぎ資金として活用するのに非常に適しています。例えば、資金取引先からの支払いが売上入金よりも先に発生する場合、銀行の融資を申し込んでもリスケジュールなどの理由で否決される可能性があります。しかし、ノンバンクの融資は銀行よりも審査が甘く、スピーディに融資してくれると言われています。そのため、数か月の資金繰りをするためのつなぎ融資として利用するのはおすすめです。
2. 緊急性の高い資金調達が必要な場合
ノンバンクの融資は、緊急性の高い資金調達にも適しています。例えば、予期しなかった出費が発生した場合や取引先からの入金が遅れる場合などは、支払期限が差し迫っている場合もあります。ノンバンクでは最短即日融資に対応しているところもありますので、必要な資金を確保するために活用することができます。特に返済のめどが立っている場合や短期間で返済できる場合には、ノンバンクの融資を検討する価値があります。
3. 返済期間が短く、利息負担を抑えたい場合
ノンバンクの融資は、返済期間が短い場合には利息負担を抑えることができます。ノンバンクの金利は銀行の融資と比較すると高めですが、短期間での返済であれば支払う利息も少なくなります。そのため、返済のめどが立っており、かつ短期間で返済できる場合には、ノンバンクの融資を利用することを検討すべきです。これにより、返済負担を大幅に抑えることができます。
適切な返済計画を立てることで、円滑な資金繰りを実現することができます。返済計画や利息負担などをしっかりと計画し、借り過ぎには注意が必要です。ノンバンクの融資は資金調達手段として有用ですが、借り過ぎにより返済が困難にならないよう注意しましょう。
5. ノンバンクの融資が向いていない場合
ノンバンクの融資には柔軟性やスピードがありますが、すべてのケースにおいて適しているわけではありません。以下に、ノンバンクの融資が向いていない場合を考えてみましょう。
5.1 負担が大きい場合
ノンバンクは金利が高い傾向にありますので、返済の負担が大きくなる可能性があります。特に長期間の返済を予定している場合や、大きな融資を必要とする場合には、ノンバンクの融資は避けた方が良いでしょう。
5.2 資金繰りが悪化する場合
ノンバンクの融資は審査基準が比較的緩いとされていますが、それゆえに資金繰りの悪化を招く可能性もあります。たとえば、借金で黒字化を目指している場合や、将来的な経営への負債増加が問題となる場合には、ノンバンクの融資は避けるべきです。
5.3 銀行融資に影響がある場合
ノンバンクの融資を利用することは、銀行からの融資を受ける際にマイナスの要素となります。銀行は融資の審査において、借り手の信用力やキャッシュフローを評価します。そのため、ノンバンクの融資を利用したことで、将来的に銀行からの融資を受ける際のハードルが上がる可能性があります。将来的に銀行からの融資を受ける予定がある場合には、ノンバンクの融資は避けた方が良いでしょう。
5.4 絶対に必要でない場合
最後に、ノンバンクの融資が向いていないケースとして、絶対に必要でない場合を考えてみましょう。たとえば、事業の拡大や資産の取得など、資金調達が必要ない場合には、ノンバンクの融資は不要です。無理な借金を避けるためにも、必要のない場合はノンバンクの融資を避けましょう。
以上がノンバンクの融資が向いていない場合についての考察です。ノンバンクは柔軟な融資を提供してくれる一方で、注意が必要な面も存在します。自身の経営状況や将来の計画に合わせて、適切な融資方法を選択しましょう。
まとめ
ノンバンクの融資には様々なメリットがあるものの、高金利や借入限度額の制約、借り過ぎのリスクといったデメリットにも注意を払う必要があります。ノンバンクの融資が適しているのは、つなぎ資金としての活用や緊急性の高い資金調達、短期返済が可能な場合などです。一方で、返済負担が大きい場合や、資金繰りの悪化や銀行融資への影響が予想される場合は避けるべきです。ノンバンクの融資を検討する際は、自社の状況を十分に考慮し、無理のない返済計画を立てることが重要になります。
よくある質問
ノンバンクとは銀行との違いは何ですか?
ノンバンクは融資業務に特化しているのに対し、銀行は様々な金融サービスを提供しています。また、ノンバンクは総量規制の対象で個人の借入額に制限があるのに対し、銀行は総量規制の対象外です。さらに、ノンバンクの金利は銀行に比べて高く、借入限度額も低い傾向にあります。
ノンバンクの融資を利用するメリットは何ですか?
ノンバンクの融資は、スピーディな対応、簡単な審査手続き、無担保での借入が可能、用途の自由といったメリットがあります。急な資金需要や緊急事態に備える際に有効です。
ノンバンクの融資を利用するデメリットは何ですか?
ノンバンクの融資は高金利、借入限度額が低い、借り過ぎのリスクがあるといったデメリットがあります。長期的な利用や大きな融資を必要とする場合は注意が必要です。
ノンバンクの融資が適している場合とは何ですか?
ノンバンクの融資は、資金のつなぎ資金として、緊急性の高い資金調達、短期の返済が可能な場合に適しています。返済計画を立てることで、円滑な資金繰りを実現できます。