今回はAmazon Alexaと大人気のAI対話システムChatGPTを連携させた新しいサービス「helloGPT」のリリースについて紹介します。AlexaとChatGPTが協力してユーザーと自然な会話を行えるようになり、様々な場面で活用できるはずです。この記事では「helloGPT」の開発の経緯や導入手順、課題と対策などを詳しく解説していきます。
1. Alexaを使ってChatGPTとおしゃべりできる「helloGPT」をリリース
こんにちは!今回は、Alexaを使ってChatGPTとおしゃべりできる「helloGPT」のリリースについてお話しします。
AlexaとChatGPTの連携を活用し、英会話学習サービスを提供することが目標でしたが、既存のサービスが存在していたため、少し方向性を変えて作成しました。
きっかけ
私のデスクにあるAlexaが目に入り、「AlexaとChatGPTで会話できたら面白いのでは?」と思いつきました。その後、検索をしてみると既に同様のサービスが存在していましたが、英会話学習サービスとして利用することで需要があるのではないかと考えました。
導入
開発した「helloGPT」は、Alexa Skills KitとChatGPT APIを組み合わせて作成しました。ユーザーは「Alexa、Please open helloGPT」と話しかけることで、ChatGPTを活用した英会話練習が開始されます。ユーザーはAlexaと英語で会話し、会話が終了すると「Stop」と返答することで終了します。
詰まった点
これまでの開発において、いくつか詰まった点がありました。一つ目は、会話の履歴を踏まえた応答が返ってこないことでした。しかし、会話の履歴を保持することで、会話の流れに基づいた回答が得られるように改善しました。
二つ目は、応答エラーが頻繁に発生することでした。これに対しては、ChatGPTの応答時の文字数を制限することでエラーを緩和しました。
コード
「helloGPT」のコードはGithubのレポジトリで公開しています。詳細な手順やLambdaのソースコードを参考にしてみてください。
まとめ
今回、Alexaを使ってChatGPTとおしゃべりできる「helloGPT」をリリースしました。英会話学習サービスとして活用できるものではありますが、既存のサービスとの違いを考え、新しいアプローチを試みました。
将来的には、ChatGPTをさらに活用してサービスの拡充を図りたいと考えています。ご興味がある方は、ぜひ一度試してみてください。以上で「helloGPT」のリリースについて説明しました。
2. きっかけ
アマゾンがAlexaを使ってChatGPTとおしゃべりできる「helloGPT」をリリースするに至ったきっかけは何だったのでしょうか。
ユーザーのニーズと要望
アマゾンは常にユーザーの声に耳を傾けています。多くのユーザーからの要望として、Alexaを使ってより自然な会話を楽しみたいという意見が挙がっていました。これに応えるべく、アレクサの機能をさらに進化させる必要があったのです。
AIテクノロジーの進歩
また、AIのテクノロジーも急速に進化しています。アマゾンはAI技術の研究開発に力を入れており、新たな大規模言語モデルの開発に取り組んできました。この新しい言語モデルを活用することで、より高度な自然言語処理を実現し、会話の質を向上させることができると考えられました。
市場の動向
さらに、アマゾンは競争の激しいスマートスピーカー市場での地位を維持するために、新たな機能やサービスの提供が必要であると認識していました。自然な会話ができるAIアシスタントは、ユーザーの生活をより便利にするために不可欠な要素となっていたのです。
これらの要素が重なり合い、アマゾンは「helloGPT」のリリースを決定しました。ユーザーの声に応えながら、自然言語処理の最新技術を活用し、競争力のあるスマートスピーカーを提供することを目指しています。
3. 導入手順の概要
AlexaとChatGPTを組み合わせて使用するためには、いくつかの手順が必要です。以下では、それぞれの手順の詳細を説明します。
3.1. アレクサの新規スキルの登録
最初に、新しいスキルをAlexa Developer Consoleで登録する必要があります。以下に、具体的な手順を示します。
- Alexa Developer Consoleにログインし、「スキルの作成」ボタンを選択します。
- プライマリーロケールを「日本語」に設定し、スキル名を「チャット」と入力します。
- エクスペリエンスのタイプを「ゲーム&トリビア」に選択します。
- 必要な情報を入力し、スキルをインポートします。インポートボタンをクリックし、以下のURLを指定します:https://github.com/Eito-H/AlexaGPT.git。
- スキルが正常にインポートされたら、スキルの作成は完了です。
3.2. インテンドの作成
次に、インテンドを作成する必要があります。インテンドは、ユーザーがスキルを呼び出した後に実行される処理を選択するための指示です。以下に、具体的な手順を示します。
- インテンド名を「query」とし、「ダイエットに向いている食事は?」という文章を格納します。
- スロットタイプを「AMAZON.SearchQuery」に設定し、音声入力に対応させます。
3.3. GPT-4への移行
本記事では「gpt-3.5-turbo」を使用していますが、より正確な回答を得るためには、最新のGPT-4への移行が必要です。ただし、GPT-4を利用するには「ChatGPT Plus」という有料版に契約する必要があります。
3.4. 応答エラーの対処方法
Alexaの応答時間制限により、ChatGPTからの応答が長い場合にはエラーが発生することがあります。この場合は、文字数制限を厳しくすることで改善することができます。具体的な対処方法は、key.jsのsystem_messageの個所を「30文字で答えて。」などに変更することです。
3.5. 詳細な話し方の設定
Alexaの応答を関西弁などに変更する場合は、key.jsのsystem_messageに「関西弁で」と追加することで設定することができます。ただし、応答速度が遅くなり、応答エラーの頻度が増える可能性があります。
以上が、AlexaとChatGPTを組み合わせて使用するための導入手順の概要です。これらの手順を実施することで、より便利な会話体験を提供することができます。
4. 詰まった点
Alexa × ChatGPTを利用する上で、いくつかの詰まった箇所がありました。以下にその詳細をご紹介します。
4.1. 応答エラーとなる場合の対処方法
Alexaは応答時間が制限されているため、ChatGPTからの応答が長い場合にはエラーが発生することがあります。このような場合には以下の対処方法があります。
- 文字数制限の厳格化:
key.js
のsystem_message
の個所を「30文字で答えて。」などと変更することで、応答エラーの頻度を減らすことができます。
4.2. 関西弁など話し方を変えるには
Alexaの話し方を変えるためには、以下の手順を実行します。
keys.js
のsystem_message
に「関西弁で」といったフレーズを追加します。- ただし、関西弁などの特定の話し方への変更は、応答速度の低下や応答エラーの頻度増加を招く可能性がありますので、注意が必要です。
4.3. その他の詰まった点
Alexa × ChatGPTの統合においては、他にもいくつかの課題が存在する可能性があります。以下にその一部をご紹介します。
- 大規模言語モデルの予期せぬエラーへの対処: 予期せぬエラーが発生した場合にどのように対処するか、という点は大きな課題となるかもしれません。アマゾンはエラーを起こさないための防止策を取っており、また会話相手が機械であることをユーザーに思い出させる工夫も行っています。
- ユーザーの動きや姿勢の誤解への対応: ユーザーの動きや姿勢の誤解による不正確な反応が起きないようにするためには、ボディランゲージの文法といったものが存在しないことに対応する必要があります。
以上がAlexa × ChatGPTを利用する上で詰まった点の一部です。これらの課題に対処することで、より快適な会話エクスペリエンスを実現することができるでしょう。
5. コード
Alexa × ChatGPTを実現するためのコードをご紹介します。以下の手順に従って進めてください。
スキルの作成
-
Alexa Developer Consoleにログインし、新しいスキルを作成します。
-
「Hello World」スキルを作成し、必要な設定を行います。
-
スキルのエンドポイントを指定するため、HTTPSエンドポイントを作成します。このエンドポイントはChatGPTとの通信を担当します。
Lambda関数の作成
-
AWS Management Consoleにログインし、新しいLambda関数を作成します。
-
関数コードを準備します。以下のようなコードを使用します。
“`python
const https = require(‘https’);
exports.handler = async (event) => {
const question = event.request.intent.slots.question.value; // ユーザーからの質問を取得
const chatGptResponse = await callChatGptApi(question); // ChatGPT APIに質問を送信し、回答を取得
const answer = chatGptResponse.choices[0].text; // 回答のみを取得
const response = {
version: '1.0',
response: {
outputSpeech: {
type: 'PlainText',
text: answer // 回答をAlexaに返す
}
}
};
return response;
};
function callChatGptApi(question) {
return new Promise((resolve, reject) => {
const postData = JSON.stringify({
question: question,
});
const options = {
hostname: 'api.openai.com',
path: '/v1/engines/chat-davinci-codex/completions',
method: 'POST',
headers: {
'Content-Type': 'application/json',
'Authorization': 'Bearer YOUR_API_KEY' // APIキーを設定
}
};
const req = https.request(options, (res) => {
let responseBody = '';
res.on('data', (chunk) => {
responseBody += chunk;
});
res.on('end', () => {
resolve(JSON.parse(responseBody));
});
});
req.on('error', (error) => {
reject(error);
});
req.write(postData);
req.end();
});
}
“`
-
上記のコードの
'YOUR_API_KEY'
となっている部分を、先ほど取得したAPIキーに置き換えます。 -
Lambda関数を保存し、デプロイします。
スキルとLambda関数の紐付け
-
Alexa Developer Consoleに戻り、スキルとLambda関数を紐付けます。
-
スキルのエンドポイントに、作成したLambda関数のARN(Amazon Resource Name)を指定します。
-
スキルのデプロイを完了し、AlexaとChatGPTの連携を実現します。
これで、AlexaとChatGPTを使ってのおしゃべりが可能です。お楽しみください!
まとめ
今回は、Alexaを使ってChatGPTとおしゃべりできる「helloGPT」のリリースについて説明しました。Alexaとチャットボットの連携は、より自然な会話体験を提供することができます。開発の過程では、応答エラーの対処や話し方の変更など、いくつかの課題に直面しましたが、それらを解決することで、ユーザーに便利で楽しい機能を提供することができました。今後は、さらなるサービスの拡充を図り、ユーザーの需要に応えていきたいと考えています。Alexa × ChatGPTのコラボレーションに興味のある方は、ぜひ「helloGPT」を試してみてください。
よくある質問
アマゾンがAlexaを使ってChatGPTとおしゃべりできる「helloGPT」をリリースするに至ったきっかけは何だったのですか?
ユーザーの要望やAIテクノロジーの進歩、競争の激しいスマートスピーカー市場での地位維持が重要な要因でした。ユーザーの声に応えながら、最新のAI技術を活用し、より便利なスマートスピーカーを提供することを目指しました。
AlexaとChatGPTを組み合わせて使用するにはどのような手順が必要ですか?
Alexa Developer Consoleでスキルを登録し、インテンドを作成する必要があります。また、より正確な回答を得るためにはGPT-4への移行が求められます。応答エラーへの対処や話し方の設定など、いくつかの設定が必要です。
Alexa × ChatGPTの統合において、どのような詰まった点がありましたか?
応答エラーの発生や、関西弁などの特殊な話し方への変更が難しいことが課題でした。また、予期せぬエラーへの対処や、ユーザーの動きの誤解への対応なども重要な課題でした。
コードの実装にはどのような流れがありますか?
Alexa Developer Consoleでスキルを作成し、HTTPSエンドポイントを設定します。次にAWS Lambda関数を作成し、ChatGPT APIとの連携コードを記述します。最後に、スキルとLambda関数を紐付けることで、AlexaとChatGPTの連携が完成します。